豚バラ肉と色々キノコの中華風雑炊@一楽



 ちょっと前のことになるが、いその爺さんが「チャプスイ(chop suey)」のことについて書いておられた

 これは私も気になっていた料理なのであるが、ちゃんと調べることもなく過ごしてきたところに、このようなレポートがアップされ興味深く読ませていただいた。

 その中に『有隣』第448号(平成17年3月10日)の記事が引用されている。それは「中華料理と横浜中華街」と題した座談会で、聘珍樓の林さん、開港資料館の伊藤さん、作家の譚さん、文芸評論家の藤田さん、そして有隣堂社長の松信さんが料理や街の歴史を語り合っているのだが、そこに1930年(昭和5年)頃の聘珍樓のメニューが登場してくる。

 その一部分を抜き書きすると…
  
大体今もあるものですね。 芙蓉蟹[フーヨーハイ](蟹玉)、鯉やフカヒレもある。 李鴻章チャプスイも。
伊藤李鴻章什碎」の横に五目うま煮と書いてあるんですよ。
チャプスイは日本でははやらなかったんですね。 アメリカで最初にできた中華料理はチャプスイだそうです。
アメリカでは今でもそう言っていますね。
ええ。 あれは日本の五目炒めなんですか。
そうです。 雑炊[ぞうすい]と書く。 これは日本語ですね。 雑炊を広東語で読むと、チャプスイになるんですが、中国では違う字を使います。

 その違う字というのが、ウィキペディアによると 雜碎なのだ。たしかに、[ぞうすい]と読めなくはない。


 さて、いその爺さんがチャプスイの記事を書かれた10月28日、実は私、「一楽」のランチで「豚バラ肉と色々キノコの中華風雑炊」というものを食べていたのである(冒頭の写真)。
 中華街でお粥を出す店はいくつもあるが、雑炊を名乗るメニューはそう多くはないはず。私の数少ない体験では、色々野菜入り雑炊(愛香楼)、薬膳雑炊(菜香)、それと火鍋を食べたあとの自分で作る雑炊くらいだろうか。
 しかし、あんかけチャーハンやリゾットチャーハンなども雑炊の仲間と考えたら、その数はお粥よりも多くなるかもしれない。
 
 チャプスイとは、五目うま煮や八宝菜のようなものといいながら、五目炒めのようでもあり、シチューのようでもある。そして聘珍樓の林さんは雑炊だという。(インドにはカレー味のツユダクもあるらしい)
 さらに、そのルーツは中国から日本に入って来たものなのか、あるいは中国からアメリカ経由で持ち込まれたものなのか、いろいろな説があるようで、なかなか奥の深い料理のようだ。

 横浜中華街ではこの名称をあまり見かけないが、沖縄の食堂やレストラン、ファミレスなどのメニューにはチャプスイという料理がよく載っているらしい
 ここにもアメリカの影が…

 
 まあこの問題については、いずれ、いその爺さんが続編をお書きくださるであろうからそちらにお任せするとして、私がずっと気になっているもう一つのことは横浜の「チャブ屋」である。

 どんなお店かというと、内部の写真を見たことがないので書籍などから判断するしかないのだが、1階がカウンターバーで中央にダンスホール(伴奏はLP)、2階は店の女性がお客さんと一夜を共にするための個室という構造だった。
 ただ、すべての客が2階に上がっていたわけではなく、なかには飲食とダンスだけで帰る健全な(?)人たちもいたそうだ。

 そんな「チャブ屋」が集中していたエリアは、戦前は小港町(現在の山手警察署裏あたり)で、ここは本牧十二天の参道に面していた。
 戦後はその一帯が米軍に接収されてしまったため、そこから少し北方町寄りの本牧2丁目方面にチャブ屋街ができた。

 ちなみに、みんなでつくる横濱写真アルバムの中に、戦後のチャブ屋の外観写真が掲載されているので参考までにリンクしておく。



 このチャブ屋の語源については「Chop House」が訛ったという説と、「Chop suey」を語源とする説があるが、前者の説の方が一般的なようである。
 しかし、「Chop House」というのはステーキハウスと同じような店だ。はたしてチャブ屋でステーキなどを提供していたのであろうか。もしかしたら豚肉を使った料理だったのではないか。
 
 チャブ屋のことを書いた記事を見ていると、たいてい「Chop House」を軽食堂と訳しているが、戦前にはこの意味で使っていたのだろうか。

 一方でアメリカには昔も今も、「Chop Suey House」というのがある。いわゆるアメリカ式の中華料理屋だ。

 「Chop House」と「Chop Suey House」と「チャブ屋」…。
 チャブ屋に入った客は何を食べていたのだろうか。

 だんだん分からなくなってきた…。

 そしてさらに私の頭を混乱させるのが、上でご紹介した「みんなでつくる横濱写真アルバム」だ。
 上段左端の写真が気になって…

 この写真だ

 道を歩いている米兵の手前に、出前をする中華料理店の店員らしい男が写っている。

 その彼が持っているのは、チャプスイじゃないのか?
 
 チャブ屋の語源は、本当にchop houseなんだろうか?

  


 ということで、「一楽」の雑炊に話を戻す。
 豚バラ肉は簡単にほぐれるほど柔らかく煮込まれている。しかもそれが大量に投入されているのだ。
 いやいや、雑炊といっても侮れないぞ。
 
 そして、サービスでいただいたのが、これ。 


 まかないのイカフライと秋刀魚フライ!

 そして中華街のテーブルには絶対に置いていないブルドッグソース
 これは雑炊よりも、白いご飯に合うおかずだった……。


 さて、こちらはいその爺さんも述べておられた灯台下暗しの「一楽」メニュー。

 日本語しか読んでいなかったけど、ちゃんと中国語と英語の表記があるんだね。


 五目うま煮かけご飯。

 その文字の下にChop suey On Riceと書かれている。


 これがチャプスイだ。


 チャプスイを食べる前にビールを飲んでいたら、こんなものを頂いた。
 すき焼き風のおかず。
 美味しぃ~。


 そしてザーサイの溜り醤油漬け。

 ことしもこれが出回る時期になったようだ。
 ただいま「源豊行」で販売中。
 
 豚肉と一緒に炒めて食うと超うま~。
 
 

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